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新エネ大賞

New Energy Award

審査委員長特別賞
令和6年度 新エネ大賞
審査委員長特別賞【導入活動部門】

掘削技術専門学校の設立と運営

学校法人ジオパワー学園
令和6年度 受賞事例 審査委員長特別賞

受賞のポイント

地熱発電を推進するためには掘削技術者が不足しているおり、この技術者不足の解決策として掘削技術の専門学校を開校し、日本人技術者の養成をおこなっている。掘削技術者の人材不足という課題に対し、教育コンテンツも含め全く新たに教育機関を立ち上げた点及び多くの卒業生が地熱関連会社に就職しており地熱事業を支えている点について評価された。入学者の拡大と本事業の継続を期待したい。

導入活動の概要

掘削技術者は、地熱発電の促進により人数が不足すると共に高齢化による掘削技術の継承にも支障が出ている。これらの解決策の一つとして2022年4月に掘削技術の専門学校を開校し、掘削技術者の養成をおこなっている。

掘削技術専門学校は修業年1年の学校で、2022年度4名、2023年度14名の卒業生全員が掘削関係企業に就職しており、2024年度は16名の学生が入学し学んでいる。学校は、北海道白糠郡白糠町大楽毛に位置している。

掘削技術を学ぶ学校は、国内では初めての設立であることから、校舎や寮の建設から始まり、教科書や教育資料の作成、カリキュラム構築、掘削資機材の調達ならびに組立、安全教育内容の検討などこれまでに前例のない準備作業を実施した。

カリキュラムは、掘削技術を分類から見直し、実際の作業や管理に必要な技術を抽出した。特に、安全管理は実作業を伴う掘削技術では重要な科目で、机上での授業だけでなく、安全作業に必要な危険に対する感性を学べる科目を含めた。入社後に短期間で実務教育が実施できるよう、掘削作業に関係する特別教育と最低限必要な技能講習をカリキュラムに含めるとことした。

掘削技術の教科書として使用可能な書籍が無いため、学校法人で技術資料や作業事例を基に教科書原稿案を作成し、掘削技術の専門家15名の委員からなる教科書査読委員会で査読していただき、「掘削技術の知識と実務」として出版した。

国内掘削会社、掘削機器メーカー、商社など23社から無償で掘削機器の提供を受けた。提供された機器には、実機はもとより学校教育で使用しやすいよう加工されたものや3Dプリンターで製作した模型などもある。また、実験や研究に使用した器具や部品のように現場では見ることのできないものもある。

ロータリー掘削機の操作演習に使用するため、掘削シミュレータを導入した。このシミュレータは石油掘削用のシミュレータである。操作方法は、ジョイスティックを使用した方式で、最新の掘削装置用である。

これまでの入学者の約5割が一度社会に出て学び直し(リカレント教育)として入学した学生で、2024年度からは、掘削科は厚生労働省の職業実践専門課程に指定され、リカレント教育には受給資格があれば授業料の一部が支給されるようになった。2024年度の求人票提出会社は61社で、希望求人数は学生数の8倍近い。 2024年度の学生は、12月までにほぼ全員の内定が決まっている。

学校に来校された機関の方々には、専門学校の説明のみならず、掘削技術の概要や地熱開発について説明している。

これまで来校された機関は、地元商工会や老人クラブ、教員研究会などである。来校者は小学生高学年から高齢者まで様々な年齢層で、総人数は300名を超えている。

学校設立と運営に際して、政府関係機関や掘削技術に関する関係協会、学会から応援や協賛を得ており、設立後には意見交換や見学のため多くの機関が来校している。

掘削技術専門学校の設立と運営

受賞者による広報活動

【連絡先】

  • 学校法人ジオパワー学園 掘削技術専門学校
    常務理事・校長 井上政史
    E-mail:m.inoue@geopower-academy.ac.jp