新エネ大賞
New Energy Award

奥飛騨温泉郷における地域共同型小規模バイナリー発電事業

受賞のポイント
本事業は、既存の温泉井を利用した地域共同型小規模バイナリー発電事業(50kW)であり、温泉組合が蒸気や冷却水を供給し、企業側が発電所を建設、運営する事業スキームである。
大企業と地域の温泉協同組合の共同事業であり、維持管理を地域の力で行うなど地域への技術移転により、地域のモチベーション向上や活性化に貢献していることが評価された。火山立国の日本において、温泉発電の有効活用は非常に重要な課題である中、本件のような小規模ながらも地域と共生した形で温泉発電が有効に活用されている事例は他地域の波及が期待される。
地域共生部門の概要
本事業は株式会社竹中工務店(以下、「竹中工務店」という。)と奥飛騨宝温泉協同組合(以下、「組合」という。)との共働事業である。域外資本である竹中工務店の技術力・リスク許容力と、温泉郷の活力の基礎となる温泉供給を実施する力を持った組合(組合員56名)とが上手く融合し、本事業が成立した。
組合が蒸気や冷却水を供給し、竹中工務店が発電所を建設、運営するスキームであり、発電した電力はFIT売電以外に、温泉供給に必要な組合の給湯ポンプなどにも売電し、地域の温泉供給のCO2フリー化も実現している。
発電所の管理を組合に委託することで、組合が発電設備自体の仕組みを理解し、日々技術力を向上させ、現在では設備の不具合防止対策などの提案や施工を積極的に行うまでになっている。組合はこの技術力で、他社と先に実施していた他の発電所の改造を自ら行い、事業収入を10%以上向上させており、地域への技術移転が成功し、地域の収益及びモチベーションの向上に繋がった事例となっている。
また、組合は、竹中工務店が全国から収集した情報を活用し、地元の観光協会と連携してペットツーリズムや発酵料理などの勉強会も実施している。さらには、地域活性化のため、新たな事業展開を模索し、様々な事業者との新たな事業発掘に向けた意見交換を活発に行うようになっている。
このように本事業は地域の資源である温泉を活用した地域と共生した発電事業であり、小規模ながら、地域活性化につながっている事業である。

【連絡先】
- 株式会社竹中工務店
経営企画室 新規事業推進グループ 担当 鈴木
〒136-0075 江東区新砂1-1-1
TEL 03-6810-5199 - 奥飛騨宝温泉協同組合
理事長 田中君明
〒506-1432 高山市奥飛騨温泉郷一重ケ根200-336